inyo gogyo

ここでは、茶道に関わる陰陽五行思想・八卦について少し触れてみます。

陰陽五行思想と言うと、馴染みが薄いかもしれませんが、十二支は、皆さん良くご存じのことと思います。来年は寅年ですね。この十二支も陰陽五行思想から発生しています。

陰陽五行思想は、中国の古代思想哲学であり、ここから、天文、暦、占(易)へと発展していったものです。いろいろな面で中国から影響をうけた古代日本文化は、かなり、古くから陰陽五行思想を取り入れたようですが、歴史上では6世紀ごろ渡来し、7世紀に盛んになったということです。

さて、古代中国では、宇宙は初めただひとつの気からなり、それから陰と陽の2つの気が派生し、その2つの気が交感し、水星、金星、火星、木星などの惑星を生んだ。陽は太陽であり天、陰は月であり地であるとしています。この陰陽の気の交感により、地に、木・火・土・金・水の5つの気が生じます。これが五行です。

これらは、もともと同じところから生まれたので、互いにひきあい、循環します。

陰と陽は常に和合してバランスを保とうとします。

五行には、プラスの循環(相生)と、マイナスの循環(相剋)があります。

相生は、木は火を生じ(木を擦り合わせると発火する)、火は土を生じ(物が燃えると灰になる)、土は金を生じ(土のなかに鉱物がある)、金は水を生じ(金属の表面に水滴ができる)、水は木を生ず(水なしに木は育たない)。

相剋は、木は土を剋し(根が土を傷める)、土は水を剋し(水を塞き止める)、水は火を剋し(火を消す)、火は金を剋し(金属を溶かす)、金は木を剋す(斧などで木を切り倒す)。

八卦も陰陽から派生、発展したものです。図のように、太極から派生した陽を実線、陰を破線の記号で表わし、それぞれをまた陰陽に分け、もう一度繰り返すと八つの記号ができます。これを八卦とよびます。



八卦はまた方位も表わします。
hakke to hoi

これらの考え方は、茶の湯に多く取り入れられています(裏千家の場合で説明します)。

台子:地板の左に風炉(陽)、右に水指(陰)で、左右の陰陽和合。天板の左、風炉の上に、茶碗(陰)、右、水指の上に茶入(陽)を置き、上下、左右の陰陽和合。柄杓立の中に、柄杓(陰)と火箸(陽)をいれて陰陽和合。天板(陽)と地板(陰)で、陰陽。
五行棚:裏千家十一代玄々斎好みの中置の棚で、棚の地板に小ぶりの土風炉を据えて用います。棚の木、風炉の火、土風炉の土、釜の金、釜の中の水。棚の天板と地板。これで、陰陽五行がそろいます。 gogyodana

風炉:風炉は火を使うので、水剋火で、バランスを保ちます。
-土風炉には蒔灰をしますが、これは雪を表わすといわれます。雪は水です。蒔灰をしない灰型は鱗灰で、水に棲む魚のうろこをデサインしています。
-唐銅風炉は、金生水で、蒔灰はしません(切掛風炉の場合)。
-鉄風炉は、掻上灰といって、水の筋目をいれます。
また、風炉の灰型の仕上げに、底中央に水の卦を書きます。これは、八卦のうちの坎の卦です。

茶室:本来茶室は床を北に、にじり口を南に置くのが理想です。貴人は、床を背にして南に向かって座ります。これは中国の都のつくりかたで、宮城を北に建て南に向かって政事をしたことより、この位置は天子の座とされました。亭主は、反対に、北に向かって座ります。これはまた、客は陰なので、陽に座し、亭主は陽なので、陰に座すともいわれています。正方形の四帖半は図のように八卦に中央を加えて表わすことができます。

chashitsu no hakke

八卦盆:玄々斎好みの八卦盆は、まさに八卦の方位を象ったお盆で、たとえ、茶室が北向きに建っていなくても、八卦盆によって亭主が北に向いていることになります。つまり、八卦盆は茶室の宇宙観の延長として考えられます。

その他、十干、十二支、消息の卦、九星等も、茶の湯に取り入れられていますが、それはまた、後日に譲ることにします。